恋活戦記

独身アラサー女子の日々の戦いを記録。合理的に戦う方法と出会った男達を毒舌に紹介します。

10年前のあの日を振り返る❷ 〜モテ期編〜

→つづき

 

あの日、大学4年生の春休みだった。

就職は決まってなかった。

 

当時就職氷河期のピークで何百社と受けても一社も内定が決まらない時代だった。

それでも普通は必死に頑張ってどこかしらに就職を決めるものだけど、筆者はたいして興味もない仕事に就く為にそこまで大変な思いはしたくないと就活を放棄したのだった。

 

理由はそれだけではない。

前年の2010年、恋愛に明け暮れて毎日彼氏と過ごし、未来の事よりも今の幸せな日々を大事にしたいと馬鹿げた思考になっていた。

恥ずかしながらちゃんと付き合うのは初で、初めて味わう彼氏という絶対的な存在の心地良さに依存していたのだ。

 

そこに至るまでの過程を無駄に赤裸々に綴ろうと思う。

 

筆者のキャンパスライフは冴えなかった。

大学生特有のウェイウェイなノリに馴染めず、サークルに途中から入ったもののアウェイ。

いわゆる非リア組だった。

バイトも色々やったがどれも長続きしない。

 

しかし初めてオープニングスタッフのバイトを始め、働く事に生きがいを覚えた。

皆同じスタートで仕事を覚え、積極的に基盤となるルールを提案し、社員から評価を得れるように競う環境に楽しさや自分の存在意義を見出していった。

きっとあの時代が人生で1番精を出して働いていたと思う。

無論、社員が皆若いイケメンだった事が大きな要因である。

フリーター並に出勤する程、バイトが生活の大半を占めていた。

 

バイト先は社員が2桁、アルバイトが3桁も在籍しているマンモス店だったので、職場恋愛が盛んだった。

付き合いたいとかは思わないが、イケメン社員とこっそり付き合っているバイトの女子達が贔屓されていたり店の内部事情を知っていたりするのは羨ましく思えた。

オープニングスタッフ内でカーストができあがっている事に焦っていた。

とにかく周りに置いてかれぬように日中だけでなく深夜から朝までの遅番帯にも出勤して全メンバーと顔見知りになり、全仕事を覚え、コミュニケーションや情報を逃さぬ為に喫煙所にもついて行き、誘われた飲み会には全て参加し、社員との距離を縮め、出来る事は全てやったと思う。

おかげで大勢のバイトの中で埋もれずに存在感を出せたが、あちこちで色恋沙汰の噂を聞く中、誰からも見初められる事がないという自分の女としての魅力の無さに絶望していた。

 

 

がむしゃらに働いて1年以上が経ち、バイト熱も冷めてきたので2010年こそは恋愛がしたいと思った。

彼氏はずっと居ないが、高校卒業以降たまにデートをする友達以上恋人未満の同級生が居た。低音ボイスなので低音くんと名付ける。

今まで映画に行ったりカラオケに行ったりしてきたが、今回初めて夏祭りに行く事になった。

チャンス。これは浴衣を着ていくしかない。

昼はバイトのシフトを入れていたので、退勤後更衣室で浴衣に着替えて向かった。

 

初めてのデートっぽいデートにトキメキが止まらなかった。

浴衣を褒めてもらえたり、屋台でたこ焼きを買って2人で分け合って食べたり。

丁度良くお化け屋敷があったのでラブハプニングを期待して入ると何も起きないまま出口…

と思いきや、出口までの数メートルで前を歩いていた低音くんがいきなり手を繋いできて「早く!」と数秒だけ手を引かれて歩いたり。

急ぐ必要もない場面だし、これは手を繋ぐ為の無理矢理な演出なのではないかと思うと甘酸っぱくて余計ドキドキした。

 

 

翌日、「昨日夏祭りって彼氏と行ったんスか〜??俺も凛々華さんの浴衣姿見たかったな〜!!笑」とバイト先でほぼ話した記憶が無い新人くんが絡んできた。

新人と言っても6歳上のアラサーフリーターだ。クォーターらしいのでクオ田と名付ける。

筆者が浴衣で退勤していたところを他のバイトが見ていたらしい。

 

クオ田はこの日からやたら絡んでくるようになったが、第一印象すら覚えてないくらい筆者にとってどうでもいい存在だったので適当にかわしていた。

しかし懐に入るのが上手く、気付かないうちに会話が増え、クオ田の誘いでバイト後数人でゴハンに行ったり飲みに行ったりする事が増えた。

 

そのメンバーの中に筆者に好意を持ってくれている歳下くんが居た。少年サンデーのキャラに居そうな凛々しい眉毛なのでサンデーと名付ける。

「サンデーが凛々華さんと飲みたいって言うからさぁ笑」とクオ田はいつもサンデーをダシに使った。脈が無いのを解っている上で「サンデーの事はどうなんスか??笑」とからかって聞いてくる。

この時、クオ田の好意には気付かなかった。

敢えて自分はアプローチせずに周りの敵を落としていく策士だったのだ。

 

 

同時期に、高校時代サッカー部のキャプテンだった先輩から急にダブルデートのお誘いがきた。

色素が薄く、当時は白い肌に似合う金髪のロン毛で王子のようだった。文化祭でも王子役だったので王子先輩と名付ける。

 

学年トップの美女達を次々と彼女にするような雲の上の存在で、話した事はほとんど無い。

何やら会社の先輩に頼まれたらしく、2:2でドライブしたいから筆者にも友達を誘って欲しいとの事。

これが予想以上に楽しかった。

焼肉屋に行って、夜の海で花火をして、写真を沢山撮って、青春そのものだった。

王子先輩が筆者にやたらちょっかいをかけてきたり、4人で会話しながらも2人の空気感があって、2人きりでデートをするよりもきっとドキドキした。

波の音を聞きながら何かが始まる予感がした。

 

 

今思えばこれがモテ期だったのだろうか。

今まで青春を味わってこなかった分が

ひと夏で一気にまとめてきたようだった。

今のように戦場に行かずとも

低音くんクオ田サンデーキャプテン先輩、これだけ候補者が居たのだ。

 

さて誰と付き合う事になるのか。

ぜひ予想してください。笑

 

→つづく

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