恋活戦記

独身アラサー女子の日々の戦いを記録。合理的に戦う方法と出会った男達を毒舌に紹介します。

10年前のあの日を振り返る⓳ 〜3.11編〜

→つづき

 

時は2011年3月11日。

この日の予定はデザインスクールからの不思子とゴハンに行く予定だ。翌日はO子と遊ぶ予定。

バイトを辞めてからもバイト先のメンバーとは頻繁に会っていた。

ただケバ子から連絡がくる事はなく、完全に筆者を捨ててクオ田側についたのだなと思った。

 

3月から本格的にデザインスクールが始まったが、正直何も頭に入ってこない。

申し込んだ時はまだクオ田と付き合っていて、まさかこんな状況になる事は予想していなかった。

鬱に近い状態で授業中はほぼ寝てしまっていた。

 

そんな授業中に地震は起きた。

最初はスルーして先生も授業を続行していたが、どんどんと激しくなり、いつまでも終わらない揺れに皆失笑。

 

え、これどうする?

そのまま続ける?笑

避難??笑

 

そんな雰囲気でその時は恐怖も無く、他の教室はどうしてるのかお互い様子を伺いながら何度も一時停止と続行を繰り返した末に、一旦全員外に避難する指示が出た。

今まで話した事が無かった、たった2名のクラスメイトと少し会話するきっかけができて嬉しかった。

 

地上に出てもよろめく程の揺れは初めてだ。

地割れにより自分の立っている歩道と車道が前後にスライドを繰り返していたのが衝撃だった。

 

結局この日は授業を再開せず、解散となった。

解散と言われても、不思子と会う予定までまだ1時間もある。

とりあえずメールを送ってみたが送れず。

何故!!!!!!??

集合場所も決めてないのに困る!!!!!!

電話も繋がらない!!!!!!

 

しかし、

mixiはアクセスできた!!!!!!!

(当時はmixi全盛期)

なかなかページを開くのに時間はかかるが、mixi内で連絡を取り合い、無事不思子と落ち合う事に成功!!!!!!!

 

定食屋に入ると、店内のTVのニュースで事態の大変さを知った。

現在全ての交通機関がストップしていて、翌日まで再開の目処は立っていないらしい。

 

今日、不思子と会う約束があって良かった。

こんな状況1人では心細すぎる。

 

と思っていた矢先、

不思子は夕方から職場に向かうと言う。

 

不思子の新しい職場は…

まさかのキャバだった。

いつも退勤後はスタッフが車で家まで送ってくれるシステムらしく、本日も家まで送ってもらう為にとりあえず職場に行くのだと言う。

筆者を1人置いて…😂

 

あぁ、せっかく人と会う予定があって幸いだと思っていたのに…

 

とにかく孤独を逃れたい。

mixiの呟きを見て、友達のバイト先の店に行ってみようと駅に向かった。

すると駅から避難所に向かえというおどろおどろしいアナウンスが響き渡り、恐怖心を煽られた。

駅が危険のような錯覚に陥り、Uターンして人の流れに巻き込まれるようにひたすら足を進めると避難所に着いた。

頭が真っ白でどんな道を通ってきたのか記憶にない。

 

避難所に着いても居場所が無く、孤独だった。

どこに居ていいか解らず、ベンチで何時間も何もせず座っていた。たまにくる余震が怖いが、怖いと言う相手も居ない。

稀に友達からメールが届く事があっても返信が上手くいく訳ではないもどかしさ。

mixiだけが状況を知れる命綱だが、なかなかネットに繋がりにくい。

充電もどんどん無くなっていくのでケータイばかりいじる訳にもいかない。

 

まだ19時。朝まで途方もない。

このまま此処で独りで乗り切れる気がしない。

 

そんな時、奇跡的にO子から着信がきた。

「繋がった!!!」とお互い驚いた。

唯一の希望の光に感じた。

 

筆者の状況をmixiで知った共通の友達P子がO子に連絡してくれたのだと言う。神。

 

「今ね、実はクオ田の家に避難してるの」

「え!何故!???」

「今日バイト中に地震が発生して、そのまま解散になったんだけど帰宅困難者になったから私とメガネとノッポでクオ田の家に泊まらせてもらってる。ケバ子は都内に居て帰れないから友達の家に泊まるって」

「え!!私も行きたい!!!!!!!!」

 

それはもちろん避難所でこのまま孤独に十何時間も居られる自信が無かったし、とにかく誰かと一緒に過ごしたい気持ちがあったのだけど、

これはクオ田の部屋にもう一度行ける二度とないチャンスだ!!!!!!と思った。

 

付き合ってた当時自分だけしか入れなかったクオ田の部屋は特別で、思い出が詰まっている。

別れる前から急に部屋に行けなくなり、私物も回収できぬまま不完全燃焼で、最後にもう一度行きたいとずっと思っていた。

それから、あの部屋でケバ子と同棲してるという未だに信じ難い事実をこの目で確認したいし、それによって部屋が今どうなっているのかも気になる。

 

しかし、O子にお願いしてもらってもクオ田からの許可が出ず。ケバ子が嫌がるからとの事。

「そんな事言ってる場合じゃないじゃん!緊急事態なんだから!!」と筆者がO子に頼んでも「私もそう言ってるんだけど…」とO子。

結局許可が出ないまま電話は切れた。

 

一見さんのO子が泊めてもらってるのに常連客だった筆者が入れないのはおかしいだろ!!!とよく解らない思考になり、気付いたら避難所を飛び出して向かっていた。

どっちにしても気が狂いそうでこのまま此処には居られそうにない。

クオ田の家に行ったところで入れてくれるかは解らない。そしたら朝まで居場所が無くて避難所に留まった方がマシな結果になるかもしれない。

もう一か八かだ。

 

しかし、来た道が解らず、死ぬ程方向音痴な故に何時間も彷徨う事になった/(^o^)\

途中余震も来るし、周りには誰も歩いておらずサイレンばかりが何度も聞こえてくるし、恐怖の中必死に歩き続けた。

 

ついにクオ田のマンションに辿り着き、懐かしの部屋番号に指が震えながらインターホンを鳴らし、「お願いします!!!入れてください(T△T)」と懇願するとオートロックの自動ドアが開いた。

 

部屋の前まで行って改めてインターホンを鳴らすとO子が暖かく出迎えてくれて、孤独から解放された瞬間だった。

 

が、

こんなに世間が大変な状況で筆者も命からがら逃げ込んできたというのに

不謹慎にも全員がかなり酔っ払っていて、カードゲームをしたりパーティー状態で温度差が半端無かった。

 

4ヶ月ぶりのクオ田の部屋は懐かしくもあるが、昨日の事のように此処に居た事を思い出す。

2人の思い出しかないこの部屋にみんなが居る事が不思議な感じだった。

 

しかし、しっかりとケバ子が住んでいる形跡があり、男性的でシンプルだった部屋はケバ子の好きなキティちゃんにまみれていた。

本当に同棲しているんだなとやっと実感した。

 

自分が付き合っていた時は、なるべくクオ田のパーソナルな世界を壊さないよう物を置かないようにしていたのに、そのせいで女が居る形跡が無く浮気されて、図々しく我が物顔で部屋を好きに使っているケバ子に苛立ちを覚えた。

 

クオ田は筆者が来て嫌そうな顔をしている。

バイトを辞める前はウザい程ふざけて絡んできたくせに、みんなが居る手前気まずそうで目も合わせようとしない。

「ケバ子が悲しんだらお前のせいだからなー」とO子に言うと「そ、そんな事今言ってらんないでしょー!」と言いつつも少し責任を感じているようでこっちが心苦しい。こんな状況でも邪魔者扱いされるのが辛い。

 

ただ、ここに居る全員がもうクオ田の悪事を知っているので筆者に気を遣ってくれて有難かった。

クオ田の居ない飲み会で復讐はできたが、結局一度も本人を目の前にして打撃を与えられなかったので、やりづらそうなクオ田を見るとやっと復讐ができたような気がした。

 

「避難所に行くまで何してたの?」とO子に聞かれ、「不思子と居た!」とクオ田の前で答えられたのも満足だ。

結局不思子と仲良くしている姿は一度も見せられていない。まさか辞めてからも2人で会ってるとは思ってもなかっただろう。

 

 

あえてクオ田が嫌がるようにケバ子が住み始めて変わった部屋の中をキョロキョロと見回した。部屋に入れてもらった恩はあるが、入れてもらったらこっちのもんだ。

 

ケバ子はiPhoneユーザーなのでiPhoneの充電ケーブルがコンセントに挿されている。

クオ田も筆者もガラケーだった。

しかし別れてからiPhoneを買い足し、ガラケーと2台持ちしていた。その事をクオ田は知らない。

iPhoneの充電器借りていいー?」と聞くと少し驚いた顔をされたが、クオ田の許可を得て充電した。

 

本当は今まで使っていたガラケーもまだ持っているが、もうクオ田の知ってる筆者の携帯番号は無効だと知らしめる事が目的だ。

(当時はMNPがまだそこまで浸透しておらず、携帯を替える時は機種変より安い新規にして携帯番号も毎回変わるのが普通だった)

そしてケバ子に筆者の私物を使われていたように、ケバ子の充電器を使うのもまた復讐だった。

ガラケーだと充電器がそれぞれ異なるので、iPhoneユーザーになった事は本当に正解だった。

ただiPhoneを充電させてもらったというだけの話だが、筆者にとっては一石三鳥なのだった。

 

一応女子である筆者とO子が広いクイーンベッドを譲ってもらい、クオ田はソファ、メガネとノッポは床で寝る事に。

「くそっ…何で家主の俺がベッドで寝れねぇんだよ笑」とクオ田は文句を言っている。

筆者が来なければ、いつかのケバ子の時のようにO子と2人でベッドで寝る気だったのだろうか。

O子と筆者にケバ子の寝巻き用ジャージを貸してくれた。勝手に他の女に貸されているケバ子にざまぁみろと思った。

 

しかし頻繁にケバ子に電話をしに外に出るクオ田を見て、ちゃんと大切にしているんだなと思うと切なくなった。

 

結局その日は一睡もできなかった。

それでも眠っているフリをしていると、夜中にクオ田が立ち上がり、ベッド前まで来て止まった。複雑な顔をして筆者の寝顔をじっと見ているのが薄目で確認できた。

どういった心境でこちらを見ているのだろか。

 

 

朝になり、TVをつけると現実とは思えない津波のショッキングな映像が映り、事態の深刻さを思い知る。

 

クオ田の部屋が今どうなっているのか見たいという邪な気持ちもあって無許可で突撃したが、本当にあのまま避難所で独りだったら心細かったし、我ながら勇気ある行動を取って良かったと思った。

いろんな意味でこの日は忘れられない一日となった。

 

 

→つづく

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