恋活戦記

独身アラサー女子の日々の戦いを記録。合理的に戦う方法と出会った男達を毒舌に紹介します。

10年前のあの日を振り返る⓮ 〜逆襲編〜

→つづき

 

ケバ子と違和感の答え合わせをしてるうちに悲しい気持ちになるどころか、あまりに有り得ない話で笑えてきた。もはやミステリーの謎を解き明かしている爽快感だった。

ケバ子も最初筆者がちゃんと付き合っていた事が判明した時はショックで泣いていたが、だんだん悟りの境地になったきた様子。

チャンスと思い、2人で力を合わせてクオ田を懲らしめようと提案した。

懲らしめるというか、このラブラブ絶頂期にケバ子から振ってくれるだけで良かった。

それが一番の打撃になる。

とにかく2人が付き合い続けるのだけは許せないというのが本音でもある。意地でも別れさせようと思っていた。

 

筆者だって付き合っている時は、クオ田が他の人に酷い事をしていても自分だけは特別だと思って気にしていなかった。

しかしこの通りだ。

明日は我が身だぞ、と。

「そうだよね…」と言いながらもまだ付き合って1ヶ月の1番楽しい時期で、ケバ子は筆者と違って愛されている現状。別れについてはまだ答えは出せなさそうだ。

 

筆者との同時進行が発覚して呆れながらも穏やかだったが、「私が正式に付き合ってからは誰とも何もないよね⁉︎⁉︎」とそこだけは必死に確認してきた。

筆者の前でよく言えるな。

今回のクオ田の件でケバ子の自分勝手な本性に幻滅した。

 

今回筆者と話した事はクオ田には内密にしてもらうよう約束した。

まだクオ田と付き合っている以上完全に仲間と信じきれないが、状況はかなり前進した。

名誉挽回の為にクオ田と付き合っていた事をバイト先で言い振らす許可も得た。

 

翌日の夜、何度もクオ田から着信がきた。

何か気付かれたか…⁉︎

嘘が下手で全て顔や反応に出るケバ子なのでクオ田なら何か勘付いてもおかしくない。

 

初めて電話の折り返しもせず、メールもせず、完全にスルーした。そんな事今まで無かったのでクオ田も不審に思っているだろう。

ケバ子に「クオ田からめっちゃ着信くるんだけどバレてない⁉︎」と確認したが、特にバレてはいないとの事。

今まで敵だったケバ子をスパイのように使っているのが不思議な気持ちだ。

 

翌朝バイトで会うとクオ田は特に何も言ってこない。本当にバレてはいないようだ。

バイト先の皆には筆者に付き纏われて鬱陶しがっている設定なのに、筆者に自ら電話してるとバレたら気まずいだろうと思い、

あえて皆の前で「クオ田、昨日電話出れなくてゴメン!なんか用だった!??」と大声で聞くと、「え、いや…」と気まずそうに目を逸らした。

実際何故何度も電話をしてきたのかは謎のままだが、久しぶりに優位に立てた気がした。

 

しかし強がっていても実際は立っているのがギリギリな程に筆者はボロボロだった。

距離を置かれた時も別れた時も二股が判明した時もしばらくはご飯が喉を通らず、夜は一睡もできず、体重はバイト先の偉い人にブチギレられる前と比べて8kgも減っていた。

顔色は常に悪く、目は死んでいて、

出勤の度にちゃんとご飯を食べているかイケメン社員に聞かれるのが毎度お決まりになっていた。

それがちょっと嬉しかったのだが、そのうち「そんな痩せ細ってもブスに見えるからな⁉︎」とだんだんキレられるようになり、そんな心配される程ヤバいのかと自覚し始める←

 

 

次なる作戦はバイト先の皆にクオ田と付き合っていた事、二股を掛けられていた事をバラす事だ。

今までどんなに仲の良い子であっても自分の恋バナを話した事はなく、完全秘密主義で生きてきた。

今回こんな話をバラす事で周りに惨めに思われる事は不本意だが、そんな事はもう言ってられない。

自分の価値やプライドを犠牲にしてでもクオ田の印象を悪くして人望を無くしたかった。

 

どんなに薄っぺらい人間関係でも人に弱みを曝け出せば曝け出すほど共感を呼び、信頼を得て味方が増える事を別れてから実感し、後にこんな恋愛丸裸ブログを綴ってしまう程、人生観がここで変わった。

 

真剣に聞いてもらって味方になってもらえるよう一人ずつ話して回った。

この時の筆者は感情が麻痺してしまっていて、ただ復讐を遂行する事しか頭にないロボットのようになっていたのだが、同情を買う為に被害者感を全面に出した演技をした。

本当に酷い事をされたし、本当に被害者なのに、感情が現実についてこれず、大袈裟に嘘の演技をしなければ伝わらない。どこか他人事のような台詞を読んでいるかのように訴えていた。

 

更に拡散スピードを上げる為に、バイト先で一番口の軽い女に話した。

2日後のバイトの忘年会で皆の前で暴露しようとしている計画も話した。

「えーーーー!やだーーーーー!!何でそんな事私に言うのぉーーーー!!!!😂」と聞いてはいけない事を聞いてしまったという反応を見せたが、期待通り1日で一気に拡散された。

 

不思子の耳に入るのも時間の問題だ。筆者の口からではなく、周りが皆言ってたら信じてくれるだろう。それが狙いだった。

 

 

翌朝も出勤し、勤務表をチェックすると

担当するセクションのチームが筆者・O子・クオ田というかつてない異例な組み合わせであった。

味方であるO子が居た事が何より救いだった。

O子と店のオープン準備をしながら事情を話していると、遅れてクオ田が入ってきて、開口一番に「お前サイテーだな」と怒りをぶつけてきた。

言い逃げしようとするクオ田に咄嗟に「お前のがっ…」と言い返すと「どーでもいーわ」と返された。

どーでもいーなら言ってくんなや。人にした酷い事はどーでもよくて自分がやられると怒るって幼児か!!!

自己中すぎてもう話にならない。

 

口軽女に「クオ田には内密に」と口止めしておいたのだがすぐに告げ口したようだ。

それも想定内。忘年会にクオ田が来づらくする作戦でありつつ、口軽女が裏切るのか確かめる実験でもあった。

全員が味方になってくれる訳ではないから誰でも信用してはいけないと学んだ。

 

クオ田は店のオープン後も客前だというのに乱雑に物を渡してきたり、仕事の伝言を聞こえないように言ってきたり、あからさまに怒りの態度をぶつけてきて大人気がないにも程がある。

 

そんなクオ田に表向きは冷静に対応していたが、逆ギレされる事にかなり傷付いていて仕事にならない程ストレスで胃が痛く、腹をくだしていた。何度もトイレに行く事がバレぬよう必死だった。

 

不思子がやってきていつも通りクオ田と笑っているのが遠くで見える。

まだ不思子の耳には入っていないようだ。

 

クオ田のブチギレモードは収まったようで、不貞腐れながら「部屋着持ってきたから」と、何度言ってもなかなか返してくれなかった部屋着を急に返してくれる事に。

ケバ子に筆者の私物だとバレた事を知ったからだろうか。

化粧品などケバ子が使用して量が減ったものに関しては返される事はなかった。

 

更衣室前の暗い廊下で闇取引のように部屋着の入った袋をクオ田から受け取っていると

「あ、クオ田」と不思子が急に入ってきた。

「……一緒に居るの誰ぇ?…ぁ。」

一緒に居る相手が筆者だと気付いた瞬間、不思子の顔が引き攣った。

「…ぇ、何でぇ?そこで何してるの?」

冷静にクオ田を疑うようなトーンで聞いてきた。この時不思子の表情や喋り方がいつもと違っておかしかった。

クオ田は何も答えられない。

「部屋着返してもらったの!」

チャンスと思い、強気に答えた。

「…部屋着?あげたの?」

今まで筆者に完全シカトを決め込んでいた不思子が返答してくれて、久しぶりに会話が成立した事に手応えを感じた。

「ううん!クオ田の部屋に置いてた私の部屋着を返してもらったの!!!!!」

「……ぇ?」

ついに言ってやったー!!!!!!!!!

クオ田は何も言えず気まずそうにしている。

 

 

→つづく

 

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