恋活戦記

独身アラサー女子の日々の戦いを記録。合理的に戦う方法と出会った男達を毒舌に紹介します。

10年前のあの日を振り返る⓬ 〜解明編〜

→つづき

 

【⓬は教育的によろしくない過激発言が出てきますので理解のある方のみお進みください。笑】

 

不思子の件然り、今まで何か困った事があれば一番にクオ田に相談していたが、そのせいで話がこんがらがって事態が悪化していた事にようやく気付き始めていた。

 

今回初めてクオ田に気付かれぬようにケバ子にコンタクトを取る事は牢獄から脱走を試みるようなスリリングな気持ちだった。

 

 

待ちに待った決戦の時。

 

歌子や他の辞めたオープニングスタッフ達と店で席に着いていると、ケバ子が現れた。

筆者の姿を見つけて驚いている。

 

歌子やケバ子は同じバイト先の中でも違うセクションに属していて、そのセクションのオープニングスタッフで定期的に集まっていた。

メンバーは女子オンリーで現役はケバ子しか残っていないので、クオ田との繋がりが一切無いコミュニティでありながらケバ子にとってホームの場所だ。

まさか筆者が居るとは思いもしなかっただろう。

幸い筆者は全セクションのフォローに入る役回りで、このセクションのメンバーとは全員仲良くしていたので他のメンバーも快く受け入れてくれた。

 

ケバ子が恐る恐る筆者の目の前の空いている席に座った瞬間、クオ田とのラブラブツーショットプリクラを水戸黄門かのように突き出しながら「あのね聞いて欲しいの!私クオ田と付き合ってたの!!!!!」といきなり早口で本題をブチ込んだ。

 

今日のチャンスを逃したらもう後がない。

逃げられてしまう前に真実を伝える事に必死だった。

言葉で言っただけじゃ不思子のように信じてくれないだろうし、筆者が一方的に付き合っていると思い込んでいるだけだと思われてしまうだろうから、最初に証拠を突き付ける事が重要だった。

 

ケバ子はプリクラを見て驚いて青ざめている。

やはり知らなかったようだ。

そのまま言葉を失って固まっているが、お構い無しに次々と証拠品を出しながらノンストップで一部始終を話した。

ケバ子は持ち前のコミュ障で何を言ってもひたすらダンマリ。途中声を出さずに泣いていたがそんな事もお構い無しに話を続けた。泣きたいのはこっちだ。

 

まだ真実を受け入れきれて無さそうだが、ひとまず「今まで色々ごめんね」と謝ってくれた。

ケバ子もクオ田から筆者が勝手に付き合ってると思い込んでいて付き纏われていると聞いていたらしい。

不思子にも周りにもそう言いふらしていたのは他でもないクオ田本人であった。

不思子の二股を筆者がバラしたと言ったのもだ。

そんな事も知らずにクオ田に誤解を解いてもらうよう頼んでいた筆者は本当にアホすぎて笑えてくる。

 

一番の味方だと思って、周りの人間関係を捨ててでも信頼していた恋人が、自分にとっての一番の敵だった。

黒幕だった。

そんなドラマや映画みたいな話、実感が湧かなかった。

 

これは浮気だけの話ではない。

筆者を孤立させて、不思子の標的にさせて、ケバ子との友情も壊して。

偶然の流れなのか、計画的犯行なのか。

 

嫌いになったのならもう関わらなければいいのに筆者の気持ちを利用して都合良く呼び出して傷付けて笑いのネタにしてオモチャにされていた。

サイコパスとしか思えない。

 

殺してやる。

簡単に死ぬのでは許せない。

ボロボロに傷付いて苦しみながら死んで欲しい。

恨みありきの殺人事件ってこうやって発生するのだと身を持って実感した。

 

とはいえ本当に殺す訳にもいかず(とりあえずはね)

社会的抹消(バイト内という狭い社会のね)

をする事が先決だ。

 

ケバ子は交際の真実を知らなかったとしても今までクオ田と一緒になって非人道的な扱いをしてきた事は許せないし、二股に関しては彼だけが悪いのだと解っていても浮気相手の女の方に怒りの矛先が向かってしまうのは女の本能だ。

 

しかも何でこんなコミュ障のブスと!!!!!!!!!!!

それが一番納得いかなかった。

仲良くしながらも心の底ではケバ子の事を下に見ていたのだと思う。

 

しかしケバ子を潰したところでクオ田が味方になって筆者の立場が余計悪くなり傷付くだけなのは容易に想像がつく。

 

ここは復讐の標的をクオ田に絞る事に決めた。

 

筆者がクオ田に怒りをぶつけたところでノーダメージなのは解っている。

クオ田にダメージを与えるには、ケバ子からこっ酷く振ってやるのが一番効果的だ。

それから不思子や周りのクオ田信者達の信頼を一気に失わせて、筆者の味わったような孤独状態にすれば奴は無力だろう。

 

その為にケバ子を仲間にする事は必須だ。

あくまでケバ子に対して怒りは1mmも見せず、元凶のクオ田だけを許せない意思を見せた。

 

本当はクオ田もケバ子も不思子もみんな許せない。

心の底から殺意が湧いていた。

けれども全員を敵に回したら団結されて今と状況は変わらない。

敵陣を崩すしかない。

 

ケバ子への恨みも不思子への恨みも全てをクオ田への恨みに変えて、ケバ子とは同じ被害者同士だという仲間意識を植え付けた。

 

 

せっかくの集まりだが他のメンバーと会話する事なく、2時間の会は原告である筆者のマシンガン口頭弁論であっという間に終わった。

 

まだ確認したい事が山程あるし、オールで話そうとケバ子を誘い、朝まで捕獲する事に成功した。

今まで違和感を感じていた数々の疑惑の真相を確かめる時が来た。

改めてこの1ヶ月の不審な出来事の日時を整理して手帳に書きこみ、答え合わせに挑んだ。

(おかげで10年経っても細かくブログに書ける訳だ)

 

まず、クオ田の兄に部屋を貸す為1ヶ月くらい違う所に住むとクオ田に言われたのが11月初めだ。

これは実はケバ子を家に住まわせる為だったらしいが、この時点ではまだ付き合ってる訳ではなく、なにやらケバ子が家庭の事情で住む所が無くなったから匿ってくれたのだとか。詳しくは口を濁すし、筆者の常識ではあり得ない状況でよく理解できなかった。

ただあの時クオ田は「1ヶ月くらい」と期間を言っていたので、まだケバ子の事はお試しで筆者をキープしつつ決めようと思っていたのだろう。

 

筆者しか知らなかったあの部屋に今ケバ子と住んでいるというのは信じられない話だった。

悪い夢みたいだが、これが現実なんだ。

 

付き合ってる時に何度も泊まっていけだの住んじゃえば良いのにだの言われていたが、クオ田は一緒に住む人が欲しかったのかもなと思った。

まだ大学生でバリバリの箱入り娘だった筆者にはとても同棲は不可能だったが、同棲さえしていれば取られなかったのかもと思うと悔しい気持ちだった。

 

別れてしまった事の後悔と言うよりは、こんなに苦しめられる最悪な事態を防げなかった後悔が募る。

 

筆者がクオ田の家で使っていた洗顔料や化粧水や生理用品をクオ田に使っていいよと言われ、ケバ子は深く考えずに使っていたそう。

部屋に置いてある筆者の物は今度持ってくと言いながらも一向に返してくれないクオ田をずっと怪しんでいた。

どれも安物なのでどうしても返して欲しかった訳ではないが、別れてから納得できない事柄の中でも唯一正当に抗議できる案件だったので執拗に返してとせがんでいた。

それでも返してくれなかったのは急に部屋から無くなったらケバ子に怪しまれるからだったのだろう。

 

今まで漠然とミステリーだった数々の違和感がひとつずつパズルのピースが埋まっていくようにケバ子の話を聞いて全体像が見えてきた。

そこはパラレルワールドかのように筆者の見えていた世界とは違うものだった。

 

 

→つづく

CROSS ME