→つづき
ケバ子、不思子と順調に仲を取り戻していったが、こうしている間もケバ子はクオ田と一緒に居るのかと思うとまだまだ安心はできなかった。
みんなの話を聞いてるフリして目のピントが合っていない筆者をツンさんは都度心配してくれた。
以前ツンさんの誕生日会でクオ田と付き合ってた事はこっそり話していたので、今回判明した数々の事実を話すと自分の事のように深刻に考えてくれた。
今同じ店舗に残っている社員達は風の噂や場の雰囲気でなんとなく状況を把握しているが、助けてはくれない。
それはバイト同士の色恋沙汰に社員が突っ込む事ではないというのもあるが、クオ田が社員達より年齢が上で強く言えない事や現在居なくなったら1番困るシフトの厚い無敵フリーターだからという事もある。
ツンさんはクオ田より歳上であり、男に厳しい性格であり、なにより筆者を大事に思ってくれている。
ツンさんが異動せずに今も居てくれたらどんなに良かったか。
…と思っていると、
なんと願ってもない事に、ツンさんの方から上層部に報告してクオ田を処刑してくれると言うのだ!!!
有難い!!!ついに復讐が叶う!!!ツンさんのお気に入りで良かった!!!
不思子と仲直り出来た事の報告がてら、ケバ子にその場で電話してツンさんの提案を話した。
すると仲直り出来た事にも提案にも驚いていたが肯定的な返事をくれて安心した。
最後にツンさんに電話を代わってほしいと言われ、ツンさんにケータイを渡した。
ツンさんの話している表情で全て悟った。
ツンさんは電話を終え、ケータイを筆者に返す時、切ない顔をして「ケバ子はそんなに信用しない方がいいぞ…」と言った。
今まで筆者とケバ子がずっと仲良くしてるのを見てきたからこそそんな表情になるのだろう。
ケバ子は電話でツンさんに「クオ田の事を上にチクらないで」と頼んでいた。
ケバ子は完全な味方ではなくクオ田寄りな事なんて解っている。
それでも無理矢理仲間にして罪悪感を植えつけたかった。
クオ田は罪人でしょっぴかれる事になるけど、そんな奴といつまで付き合ってるつもり?と圧を掛けたかったのだ。
だからこんな風にケバ子に裏切られても驚かない。傷付いたりしない。想定の範疇だ。
と言い聞かせた。
クオ田に「不思子と仲直りしたから」とメールを送ると「あっそ」と返ってきたが、まさか仲直りできるとは思ってもなく衝撃だったようで、翌日バイト先でメガネ達と笑いながら「あれだけやり合って仲直りってすげぇよなぁww」と話していた。
そして不思子が居なくなった途端、「あいつ勤務中バックれてクビだって!!マジヤベェwwww」と不思子を笑い者にしていた。あれだけ不思子と今まで連んでいたくせに。
筆者の事については「アイツいつまで居るんだろなw俺だったらすぐ辞めるけどスゲェ神経www」と言っていた。
それを聞いたら尚更意地でも復讐するまでは辞めるもんかと思った。
こっちがオープニングスタッフとしてずっとやってきたのに、ポッと出のクオ田なんかに居場所を奪われてたまるか。
もう一つの新しいバイトと掛け持ちしているのでいつでも辞めれる状況だったが、ボロボロに傷付きながらも意地だけで居座っていた。
このままじゃ終われないのだ。
夜、筆者が暴露予告していた忘年会には案の定クオ田は来なかった。
しかし、見張り役のメガネ達がコソコソ話していてなんともやりづらかった。
クオ田のネガティブキャンペーンに勤しんでいた筆者に口軽女がグサッと言った。
「1,2ヶ月前は確かにクオ田と凛々華の話で持ち切りだったけど、今更話ぶり返されても正直もうみんな興味ないんだよね。当事者以外は他人の事なんてどうでもいいんだよ。」
気遣いの無い言葉だが、誰もが思ってても言えない事を遠慮無しに言ってくれてハッとさせられた。確かに口軽女の言う通りだ。
筆者は自分の事にいっぱいいっぱいで周りが見えなくなっていた。
真実に気付くのに時間が掛かってしまった事が本当に悔しい。苦しい状況が長続きしただけでなく、散々クオ田にネタにされて周りも盛り上がってたくせに1,2ヶ月経ってこちらが何を言っても今更どうでもいいし盛り上がらないという。
やはり復讐は無理なのだろうか。
忘年会の後、ケバ子を捕まえて2人で話し、「早く別れな」と説得をした。
筆者がしつこく別れを迫る事にケバ子も嫌気が差していただろうが、復讐に燃える筆者の標的になりたくない一心で付き合ってくれていたのだと思う。
3日後はクリスマスイヴだった。
クオ田と過ごすはずだった。
ホテルを取っておくと2ヶ月前に言っていた事を思い出した。
結局別れなかったケバ子と一緒に過ごしているのかと思うとモヤモヤが止まらなかった。
そんな筆者はここ最近頻繁にドライブなどデートを重ねている低音くんを誘ってクリスマスデートをした。
夜景が見える六本木ヒルズの屋上スカイデッキに行こうとカップルのようなデートコースを提案してくれて、正直、少し告白も期待した。
低音くんと付き合えたらクオ田の事はどうでもよくなれる気がする。
しかし、屋上までの長蛇の列での待ち時間、会話が続かず気まずい…
いざ屋上に登ると風が強く極寒だが恋人のようにくっつく訳にもいかず、夜景をバックに撮れるハートのフォトスポットで一緒に撮るのもなんだか気が引けて、結局すぐ退散する事になった。
ディナーのお店は探しとくと言ってくれてたので完全に任せていたのだが、なんと予約してなかった/(^o^)\
え、クリスマスに予約せずに入れるとこあるのか…⁉︎と不安になっていると、まさかのファミレスに連れてかれ、まさかの1円単位の割り勘/(^o^)\
え…普通のデートならまだしも、今日クリスマスイヴだよ?笑
あり得なさすぎないか…???笑
あぁ、こんな時クオ田だったら…
とまたクオ田を思い出してしまった。
付き合ってもないのでクリスマスプレゼントを用意するかすごく悩んだ。
もし相手が買ってくれてたら何も無いのは申し訳ないが、買ってくれてなかった場合は1人で張り切ってるようで恥ずかしい。
ネタとして…と言い訳できるようなギャグ要素のある数百円のショボいオモチャをプレゼントとして買っていったら、低音くんも同じ感じの数百円のオモチャを買っていた。
なんて奇遇。同じ感じで良かった。
しかし、
いらねーーーーーーーーーー😂😂😂
とお互い思った。
「俺のより要らねぇだろコレ!笑」と文句をつける低音くん。
いやどっちもどっちだよ!!!!!!笑
不満だったようでずっとグチグチ言ってる低音くんに…冷めた。
あぁ初めてのクリスマスデートなのに最悪だ。
低音くんとは高校卒業してから数年間、度々デートをしてきて友達以上恋人未満の関係についに終止符を打つのかと思いきや、幻滅だ。
その後デートする事はなかったが、なんと翌年のクリスマスにデートした他の女性と低音くんは結婚する事になるのだった。
(↓この記事に繋がる)
そして年末は地元に帰ってきた王子先輩にお台場デートに誘われ、そこからは何目的か解らぬまま王子先輩が地元に帰ってくるタイミングでデートに誘われる事になるのだった。
→つづく